ジョージアンスタイルで建てた私の家をご紹介します!
第一弾は【外壁編】。私は家を建てる前から、輸入住宅を建てるなら典型的なジョージアンスタイルの家を建てたいと思っていました。
ジョージアンスタイルは他のスタイルに比べて端正で装飾が落ち着いていて、質実剛健な印象が自分に刺さりました。なによりレンガで作られたジョージアンスタイルの家は憧れのイギリスによくある典型的な家のスタイルでもあります。
ジョージアンスタイルの主な特徴は次の通りです。
- 左右対称に作られ、計算された比率で外観が決まる
- レンガや石で作られることが多い。スタッコ仕上げの場合もある
- 窓やドアが水平方向に左右対称に奇数個並ぶ
- 軒下のデンティルモールディング
- ドーマーがあることが多い
ジョージアンスタイルの家の外壁はレンガで作られることが多いです。レンガの風合いは他の素材にはない自然な風合いと塊感、一枚一枚が違った色や表情をもっているのがとても気に入っています。
たかがレンガ、されどレンガ。知ればレンガの世界は奥深いです。
目次
イギリス積みを模したタイル貼り
ここまで「レンガ」と言いましたが、我が家の外壁は正確にはタイル貼りです。
いえ、できるものならレンガを積んで建てたかったものです。しかし地震が多い日本で法的にもコスト的にもレンガを積んで建てる「組積造」にするメリットがあまり見当たりません。
それでもレンガの風合いへの憧れがありましたので、少しでもレンガに近づけるために一枚一枚違った表情のタイルを作っているメーカーさんをチョイスしました。
悩んだ末に「30」と書かれている品番のレンガを採用した。今思えばSJ-5のような明るい色でもよかった。
こだわりポイント:タイルの貼り方
レンガの積み方には様々な種類があるのをご存じですか?
下の図は主なレンガの積み方です。
レンガの積み方の一覧。積み方の名前は主に採用されていた場所(国)にちなんでいると言われています。
レンガの積み方によって外壁の強度は変わると言われています。
しかし、タイル貼りの場合そのレンガの見た目を模しているだけなのでもはや装飾でしかありません。とは言え、どう見えるのかはこだわり屋の私としては外せないポイント(笑)。
ジョージアンスタイルの家は、本場イギリスであってもイギリス積みが必ず採用されている訳ではありません。でもホームメーカーさんから「タイルの貼り方はどうしますか?」と聞かれた時に、イギリス好きの私としてはイギリス積み(タイルなのでイギリス張り)以外の選択肢はありませんでした(笑)。
フラットアーチ
こだわりポイント:開口部の再現
開口部(主に窓)の上部の部分は特にこだわったポイントです。
組積造において、開口部の上辺は基本的にアーチを組んでその上に積まれてる重さ支えています。本物のレンガ積みの家では、アーチを組まないと重力で崩れてしまうためアーチを組んでいない構造はあり得ません。
フラットアーチは開口部で良く用いられるアーチの形です。
弧を描いていないのにアーチなの?のと、疑問を持つ人もいるかもしれませんが、フラットアーチはいわゆるアーチの構造が内部に含まれています。上図の黄色い部分は、アーチとそれ以外の隙間を埋めるために存在しています。
タイルの場合はアーチを組まなくとも崩れることはありませんが、それゆえにタイル貼りでアーチ再現がされることはほとんどありません。
しかし、そこはこだわり屋(再び)。レンガ積みの見た目を再現するためにアーチの見た目を再現することは私にとって必須でした。
さすがにハウスメーカーの担当者さんもそこまでやりますか、と言わんばかりの表情でした。笑
△2階の窓。開口上部はデンティルモールディングがあり1階の窓の半分程度しか見えないが、見える部分はアーチを組んでいるように見せている。
がっかりポイント
出来上がってみてがっかりしたポイントは写真の丸で囲った部分の処理です。
もしレンガで積み上げていたら、この丸のような処理はあり得ないはずです。しかしタイルでは2つのタイルが重なる部分についてこういった処理ができてしまいます。
この処理の仕方はがっかりです。縦方向に並んだタイルの目地間隔を詰めればこのような処理はされなくて済んだでしょう。
厚みを出して重厚感を高める
タイル張りとレンガ積みが見分けられる一番のポイントは厚みを感じられるかどうかです。
レンガ積みの壁は基本的にレンガ2枚、3枚分程度の厚みがあるため開口部を見れば奥行があることが確認できます。特に窓の部分を見るとわかりやすいです。窓枠がやや奥まった場所に取り付けてあります。
これがタイル張りのとの大きな差です。厚みのないタイル貼りの窓で奥まった場所に窓枠を取り付けようとすると、窓が部屋の内部に食い込んでしまいます。
これをデザイン面でレンガ積っぽく見せるためには実際に壁を厚くするしかありません。
これを解決するために、我が家は全体的には2×4工法のところ、ファサードの部分だけは2×6工法で建てることにしました。その分で壁に厚みを感じさせることができています。(南側のファサードがやや分厚いのでほんの若干ですが断熱効果が期待できます。)
裏面はタイルを貼らずコストカット
通りから見えない裏側の部分はコスパを重視してタイルを貼らないことにしました。我が家の裏側に別のお宅の建物がある限り、表立って見えることはないのでこれで良しです(笑)
角の一体感
タイルでレンガ積みを表現するために特に気を付けたいのは「角」の部分です。
タイルはレンガと比べ薄いので角の処理を見ればタイルであることは一目瞭然です。逆に言えば角の処理をキレイにすればレンガかタイルかの見分けは非常に難しくなります。
壁に厚みを感じさせるためにはこういった角、端、隅の部分の処理が非常に重要です。
まとめ
いかがでししたでしょうか?自宅の外壁でこだわった部分をご紹介しました。
願わくばレンガ積みでジョージアンスタイルの家を建てたかったのです、コスパや機能性を考えるとタイル貼りが現実的だ、というのが私の結論でした。
それでもレンガにはタイルにない魅力があります。そこで重要なのが外壁でタイルを採用する場合、タイルではなくレンガに見える工夫をすることです。タイルは普通に張るとフラットで表情も平坦に見え、それらがチープな印象に繋がりやすいからです。人がものを見ているときは表面的な部分以外に奥行を感じられる部分についても無意識に着目しているからです。
タイルをレンガのように見える工夫は ①表情の異なる様々なタイルを使う ②厚みを感じさせる奥まった開口部分を作る ③丁寧な角の処理 があります。これらが揃うとよりレンガで積んでいるように見えます。
実をいうと、タイル以外に目地にもこだわりたくて当初はハウスメーカーの担当者さんと目地の形状についても色々と打ち合わせをしていたのですが、選んだタイルとの相性がよろしくない?ようでフラットでシンプルな目地タイプ(raked)を選ぶことになりました。
また、目地の色も何色もの候補の中からブルーイッシュなグレーを選択しました。タイルも青みがかったレンガ色だったので相性は良いのですが、今思うとスタンダードな赤色のレンガもよかったな…と心揺れ動きます。(笑)
と、タイル以外にもこだわれたら尚良しだったのにな…と尽きないこだわりを発揮していた【外壁編】なのでした。