Georgian house TOKYO
モノにこだわる元百貨店バイヤーが輸入住宅を建てた
モールディング

【誰も教えてくれない】シーリングローズ(メダリオン)の選び方

シーリングローズ(別名メダリオン)はご存じですか?シーリングローズはシャンデリアなど照明器具を吊るす天井に取り付けられる、輸入住宅の中でも特に華やかなモールディングです。

シーリングローズは、部屋に取り付けると照明器具を中心とした空間設計がバシッと決まるので、輸入住宅にぜひ取り入れてほしいモールディングです。

シーリングローズには様々サイズや柄があるので選ぶのが楽しい一方、正しい選び方について紹介している販売サイトや記事を見かけることはあまりありません。そこで当記事ではシーリングローズ(メダリオン)の正しい選び方について解説していきます。

シーリングローズの正しい選び方

シーリングローズの選び方には大きく2段階あります。

まず最初に、サイズで選ぶことです。これは西洋建築に共通の考え方で、あらゆるものはプロポーションを軸に決定されるためです。プロポーションとは物と物のサイズの比率のことで、大きすぎても小さすぎても良くありません。

サイズで選んだら次にデザインを選びます。部屋の雰囲気やモチーフに合わせてセレクトするとよいでしょう。

サイズで選ぶ

シーリングローズのサイズ選びはその下に吊るされる照明器具の大きさ、テーブルなど家具の大きさ、ラグ・絨毯の大きさに合わせて選びます。

フレアード型配置

図のように天井側から床側に向かってフレアード型に配置すると安定感が生まれます。この図でシーリングローズの幅を示す範囲に収まるシーリングローズを選びましょう。

テーパード型配置

逆に天井側から床側に向かってテーパード型に配置する方法もあります。この場合は照明器具の真下へのパワーバラスが非常に高いですから、印象的なオブジェを置いたりします。また天井高がとても高い空間で長いチェーンで吊るして、床側には何も置かないというケースもあります。いずれにしてもテーパード型はやや上級者向きでしょう。

筒形配置

避けたいのは、シーリングローズ、照明器具、テーブルなど家具も同じ範囲に収まる筒形です。上から下まで視線がストンと落ちるため、動きが少なく停滞した印象になってしまいます。寸胴な印象の筒形バランスはシーリングローズ、照明器具、床上の家具がお互いの存在感を主張しあってバランスが取りにくく、あまりおすすめできる配置ではありません。

パターンで選ぶ

シーリングローズには様々なデザインがあります。部屋のあった統一感のあるモチーフを選択するとよいでしょう。特にシーリングローズ下で使われる照明器具のモチーフに合わせるのがおすすめです。ここではシーリングローズに使われる主なモチーフについてご紹介します。

  • ローズ柄・花柄(バラや花がモチーフ)
  • アカンサス柄(コリント式柱頭に用いられる植物「アカンサス」がモチーフ)
  • ロープ柄(ロープが螺旋を描いているようなモチーフ)
  • プレーン(直線と曲線のシンプルなデザイン)
  • サンバースト柄(放射線が印象的なデザイン)
  • オーバル型(楕円形のデザイン)
  • 特殊型(円形もオーバルでもないデザイン)

シーリングローズのデザインは設置する照明器具のデザインや雰囲気に合わせるとよりお部屋にフィットします。例えばシャンデリアのデザインが細かく装飾されていて、ロココ調な印象であればローズ柄や花柄が似合います。照明器具がモダンでシンプルな場合、プレーン型やロープ柄が似合うでしょう。

プレーン柄

サンバースト柄は中心から放射状に線が伸びる柄です。力強いデザインのものが多く、「線」が感じられるデザインの照明やアールデコの照明・部屋と相性が良いです。

オーバル型と特殊型は個性的な形状です。個性的な照明器具を設置する際や、お部屋にアクセントをつけたいときはオーバル型を選ぶとよいでしょう。

アカンサス柄はコリント式の柱頭に見られる「アカンサス」という植物をモチーフにしたデザインです。アカンサスは一般的なモチーフでもあるため広い範囲のデザインに似合います。照明器具の他に、壁紙が植物の柄だったりお部屋に植物を飾る予定があればアカンサス柄のシーリングローズがお部屋の雰囲気にマッチするため良い選択になるでしょう。

シーリングローズの素材について

伝統的なシーリングローズの素材は石膏や漆喰で作られていますが、国内で扱っている業者は少なく高額になります。また重量があり設置工事も大変になります。また木目を活かしたインテリアの場合は無垢の木材を選ぶことになりますがこちらも高額で設置が容易ではありません。

おすすめの素材は発砲ウレタンです。発砲ウレタンは軽いため扱いやすく、設置も比較的簡単ですので工事費用もかさみません。軽いので地震などで落下する万が一のリスクを軽減できるのというメリットもあります。

ほとんどの場合、設置後塗装をしますので石膏のシーリングメダリオンを見分けはつかなくなります。ポイントは設置後、天井とシーリングローズの隙間コーキングをすることです。コーキングとは極狭い隙間をコーキング剤で埋めて目立たなくすることです。コーキングをすると天井とシーリングローズの隙間がなくなりますので一体感が生まれより美しい仕上げになります。

注意点

天井が2400mm程度かそれより低い場合は、シーリングローズを取り付けないという選択肢も持っておくべきです。シーリングローズは華やかで憧れのモールディングかもしれませんが存在感が強いため、天井高が低い部屋に設置すると圧迫感も強いためです。圧迫感が強いと実際以上に部屋を低く見せてしまいます

天井が低い場合は、シンプルなデザインのにするか、シーリングローズは取り付けないという選択がかえって良い結果になることも多いです。それでもワンポイント付けるのであれば、照明器具についているコンセントカバーをアレンジするのも方法の一つです。

まとめ

シーリングローズはデザインではなく、空間のプロポーションを優先して適切なサイズを選ぶことが重要です。シーリングローズと照明器具、机などの家具、ラグ・絨毯との組み合わせで検討するとバランスが良くなります。

また、天井高が低い場合は無理に取り付けないことがかえってよい結果になり得ます。これも踏まえて全体のバランスを想像してから選び始めましょう。繰り返しになりますが大切なのはプロポーションやバランスです。よいお部屋づくりの参考になれば幸いです。

ABOUT ME
こだわりボーズ
学生時代に初めて訪れた海外「イギリス」で見た本場の西洋建築に衝撃を受ける。 夢叶って2019年にジョージアンスタイルの輸入住宅を建築。 輸入住宅づくりの成功と失敗の学びから、満足度の高い輸入住宅ライフに貢献できるよう執筆中。バイヤーの目利きを活かした「こだわりの一品」もご紹介。 2子の父。坊主頭。趣味:芝刈り、写真